第16回:海からマグマで島を生む——「島づくりゲーム」の最初の一歩

挑戦のテーマ(今回の目的)

還暦を過ぎてから、ずっと作ってみたかったジャンルがあります。アリの巣を眺めるように、自分が手を入れた世界がじわじわ育っていくのを観察する「箱庭ゲーム」です。今回挑戦したのは、海底のマグマやプレートを操作して、自分好みの島を作るゲーム。手塚治虫の『火の鳥 未来編』で、人類の次に別の生き物が栄えていく――あの壮大な時間の流れを、ブラウザの中で再現できないかと考えました。

いきなり全部は無理なので、まずは土台です。「マグマで陸地を盛り上げ、植物が生え、動物が増え、やがて人が住みつき、文明が発展する」。この一連の流れを、アイソメトリック(斜め見下ろし)の疑似3Dで動かすところを目標にしました。

AIさんおねがい(指示内容)

最初のプロンプトは、ほとんど思いつきのまま投げました。技術的なことは何も指定せず、やりたい「気分」だけを伝えています。

HTMLゲームを作りたい。
海底マグマやプレートを操作して、自分好みの島を作る
ゲームって作れる?
アリの巣を育てるみたいな面白さ。

我ながら無茶振りです。「アリの巣を育てるみたいな面白さ」なんて、人間相手でも伝わるか怪しい曖昧さ。けれどAIは、こちらの曖昧な言葉から「放置・観察系」「地形→生態系→文明の段階進化」という構造をきちんと汲み取ってくれました。むしろ、遊び方の方向性をいくつか質問で返してくれたので、こちらの頭の中も整理されていきました。

AIの回答と、最初の結果

結論から言うと、一発で動くHTMLが出てきました。これは正直、拍子抜けするほどでした。40×40のマス目に、斜めから見た立体的な地形が描かれ、「マグマ噴出」ボタンを選んで海をクリックすると、本当に海底が盛り上がって島が顔を出すのです。

しかも、ただ動くだけではありませんでした。古い博物学者のスケッチブックのような、くすんだ深海色と火山の赤を基調にした美しい画面。放っておくと侵食で山が削れ、植生が自然に広がり、集落が勝手に生まれていく。最初に画面を見たときの「おお、世界が生きている」という感動は、今でも覚えています。

1980年代、私がマイコンでゲームを作っていた頃は、こんな画面を出すだけで何週間もかかりました。それが、たった数行の日本語の指示で出てくる。時代は変わったのだと、しみじみ思いました。

「気持ちよさ」の追求

動いたものを触っていると、欲が出てきます。私がこだわったのは「観察する楽しさ」でした。せっかく世界が自律的に動くのだから、プレイヤーは神様のように、ときどき手を入れるだけでいい。基本は自動で進み、要所要所で介入する――そんなバランスにしたかったのです。

そこで、時代が進むごとに画面上部の表示が「太古代」から少しずつ移り変わっていくようにしたり、地熱エネルギーを消費して介入する仕組みを入れたりして、「何もしない時間」にも意味が生まれるよう工夫してもらいました。ただ眺めているだけで、島の年代記が静かに更新されていく。この"間"こそが箱庭ゲームの肝だと考えています。

次への意欲(todo)

土台はできました。しかし、このままでは「発展していくだけ」で、どこか物足りない。次は、この島に「滅び」を持ち込みたいと思っています。人がどんどん増えて栄えるだけでは、いずれ単調になる。災害や戦で人が減る仕組みを入れてこそ、本当のドラマが生まれるはずです。

次回は、この平和な島に最初の試練――災害と、住人たちの声を実装していきます。

AI:「アリの巣を育てるみたいな面白さ」という最初のイメージは、完成に近づいた今、ご自身の中で実現できた感覚はありますか?

井草:想像以上。というか、最初のなげかけだけでHTMLをいきなり作ってくるとは……!AIすごい